全身の浮腫がすごい患者さんの話 [治療法]
所長は肝臓学を専攻した経歴があるので、肝臓が悪くて腹水が溜まってから浮腫が出てくる患者さんを治療する機会が多かったのです。
多くは肝硬変・肝癌を合併している患者さんでした。
浮腫は肝臓が悪いから出てくるだけのものではなく、腎臓や心臓が悪くても出現する症候です。
今回紹介するのは、正確な診断がついていないのですが全身に著名な浮腫が出ている患者さんの話です。
60歳代の女性。
四肢が著名な浮腫のため、歩行困難になり近所の基幹病院循環器科を受診。
精査するのは難しいと考えたのか、詳細は不明ですが検査を予定することもなく利尿剤を処方されました。
数日内服したのですが、やたらに口が渇くだけで排尿量は全く増えなかったそうです。
日に日に浮腫がひどくなるので、当クリニックは遠かったのですが車椅子を使って受診されました。
診察すると、ここまでむくめるのかと思ったほど手足がパンパンに膨れ上がっておりました。
浮腫はブヨブヨしていると感じている方は多いと思いますが、この患者さんはカチカチに硬くなっておりました。
体格あるいは骨格は小さいと思いますが、手足はまるでプロレスラーのような太さでした。
それだけ浮腫がひどいのです。
手足がパンパンなだけではありません。
顔がまん丸になって、さらにまぶたも浮腫んで目の前にあるものも見えにくい状況でした。
筋肉のこりに関しては、浮腫の程度が著しいので判然としないのですが、間違いなく存在しているはずです。
ここまで浮腫が強烈だと血管の中の水分が少なくなっているので、利尿剤が効かなかったのか?と推測しました。
まずは冷たい手足を含めて、全身を湯たんぽで温めました。
当クリニックのある湯たんぽを総動員して臀部・背中・四肢・頚部・腹部を温めました。
温めながら首のスジに綿花を利用した、まだらめ式間接灸で刺激しました。
左右に刺激したあたりで、呼吸が楽になってきたとお話してくださいました。
その後手のひらの特殊なツボにお灸すると首・肩が楽になってきた、とお話してくださいました。
目にもお灸すると、(かなりしつこくお灸しました!)一重だった瞼が二重だったのが判りました。
眼裂が広がったのが明らかでした。
本人も目が見えるようになったとおっしゃってくださいました。
まぶたの浮腫は疲れます。
瞼に僅か1グラムの錘を貼り付けると、運動部の大学生でも30分もしないうちにバテバテになってしまいます。
これだけの浮腫ではどれだけの重さだったのでしょう!
手足も温かくなってきました。
約30分間治療すると手足が細くなってきました。
全身に活力が湧いてきたように感じてきたそうです。
自宅ではまずは湯たんぽ美人を使って身体を温めていただくことにしました。
もう少し浮腫が減ってきたら、色々なツボ刺激がしやすくなります。
最後の仕上げに気診治療を行いました。
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