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肺癌の患者さんの話 [具体的な症例]

 癌と診断されると手術して、悪いところを取り除けば治ると考えることが多いのですが、

そうはいかない事情を持った患者さんも多いのです。


今回紹介するのは心臓が悪い上に、慢性肺気腫があるところに肺癌が発見された方の話です。

肺活量が少ないと手術はできません。

手術後に挿管した人工呼吸の管が抜けない場合が多いからです。


この患者さんは70歳台の男性で、若い頃に結核の手術を受けておりました。

実質的には片肺の状態で、狭心症・不整脈を合併しておりました。

肺癌そのものも10センチ程度と結構大きく、手術は無理と診断されました。


 化学療法もリスクが大きくお勧めできませんとされ、

癌を専門としている病院では治療ができないとされたのです。


 いろいろと調べて所長のところを受診されたのでした。

症状としては水様の喀痰が多く出て、時々咳き込む状態でした。

診察所見では身体が冷え切った状態。

身体が冷えると身体のいたるところに水が貯まりやすくなります。

そのために水様の喀痰が出ていると診断しました。

まずは湯たんぽで身体を温めました。

冷えの軽減・改善を目指しました。


生き返ったような気がするとおっしゃいます。


あまりにも症状がお辛い状態でしたので、気診治療を行いました。

水様の喀痰に悩まされ続けていましたが、わずか1回の気診治療で3日間水様の喀痰は止まりました。


その後通常の治療、注射の針を使った刺絡と気診治療の組み合わせを行うと、

みるみるうちに元気になっていきました。


この方は有能な方で、多くの仕事を抱えていらっしゃいました。

体調が悪かったので、仕事に穴をあけるのが最大の悩みでした。

治療により、存分に仕事ができるようになったのは良かったのですが、

そうすると受診の頻度が減りました。

仕事の穴埋めをするために相当にご無理なさったようでした。


しばらくお目にかからないな、と思っていたら胸水が増えて抜いてもらったとのこと。

その後間も無くお亡くなりになられました。


 よくなった時に治療を続ける必要があることを痛感させられた経験でした。



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