冷えとはなんでしょう? [病態]
冷えは日常生活における言葉で、医学用語にはありません。
所長が受けた医学部教育で、冷えという言葉は出てきませんでした。
実際に診療すると、冷えが原因で出てくる症状は非常に多いのに驚かされます。
冷えというと言葉があまりにもポピュラーなので、深刻さが薄れます。
たくさん検査したけれども異常がない、しかし多彩な症状があるといった場合の原因が冷えであることが多いのです。
さまざまな症状がある場合には色々な病気でそのような症状が出てくることがありますので、治療を担当する医師は病気を見逃してはいけませんので、考えられるだけの検査をします。
それでなんらかの病気が見つかって、それなりの対処をしていただければよろしいと思います。
しかし、検査で異常はないにも拘らず症状の説明がつかないことがあります。
この場合には冷えを考えなければいけません。
前に述べましたが、医学部の教育では冷えは出てきませんので、医師の念頭には冷えは出てきません。
そのため多くの患者さんは路頭に迷うのです。
新型コロナウイルス感染症の後遺症で苦しんでいる患者さんの多くが、冷えているものと推測しております。
冷えの対処ができていないから治らない、と考えております。
当クリニックで経験したコロナ後遺症の患者さんは全て冷えておりました。
冷えの改善が出来ないと疲労倦怠感が改善しないのです。
逆に、一生懸命に冷えを改善させると急速に改善してくるのです。
まずは冷えの改善が第一です。
どうやって冷えを改善させるか?
それは湯たんぽを使って身体を加熱・保温することです。
梅雨入り間近で蒸し暑くなってきております。
このような時期に湯たんぽを使うのか?と考える方も多いと思います。
気温が高くなっても、冷えは改善しません。
気温が高いので、自分の冷えが苦にならないだけの話です。
汗をかかないように、短時間でいいので湯たんぽを使ってみましょう。
まずはお試しで、入浴前だけお風呂のお湯を湯たんぽに入れます。
その湯たんぽを大腿部前面・腹部・臀部・二の腕の5箇所を1ヶ所1分間だけ温めてみましょう。
その後普通に入浴してみましょう。
いつも以上に身体が温まります。
湯上がりに汗がひかないほど温まることもよくあります。
そんな場合には湯上がりに水をかぶってから上がりましょう。
汗腺が引き締まり、汗をかきにくくなります。
こんなことを日々に繰り返すうちに冷えの程度が軽快していきます。