乳癌の手術後9年目で、肺転移を来した患者さんの話です。
やむを得ず抗癌剤の点滴治療を開始したら、点滴を入れている静脈に一致して痛みが出てきたそうです。
痛くて・苦しくて大変な思いをしていたのです。
肘関節付近の静脈から点滴をしていたので、本人の感覚では前腕部の静脈が痛く感じているようです。

診察させていただくと悪いのは血管ではなく、前腕部の筋肉が著しく凝っているのです。
尋常ではない凝り方です。
あまりにも筋肉の凝りがひどいので、筋肉内には十分に血液が流れなくなり、前腕部の筋肉をはじめとする組織に酸素が行き渡らなくなって痛みがでた、と考えました。
狭心症が有名ですが、酸素不足になると該当する組織に痛みが生じるのです。
この患者さんの場合には、前腕部の筋肉が凝り過ぎて周辺の血管(動脈・静脈を含む)を圧迫したためにでた症状と推測しました。